先日、家を新築した友人の家を訪ねました。つるんとした大理石調の大型クローゼットの中に洋服が整列。
「衣更えはしなくていいのよ」と自慢そうな友人。
「うらやましいわ!」猫の入る隙間もない我家のタンスを思いため息・・・でも、あれ?
「前の家の大きな和ダンスはどうしたの?」
「捨てようと思ってたんだけど・・・」と捨てられなかった桐の立派な和ダンスは友人の結婚の時、両親が着物をたっぷり入れてくれたもの。フローリングの部屋の一室に陣どっているけれど、なんとなく寂しそうな面影。
「全く着てないのよ」と言いながら、友人は引き出しを開ける。中には、仕付け糸のついたまま20年も眠ったままの、友禅の訪問着、江戸ちりめんの小紋、大島紬・・・。
あなたの家、あるいはあなたのお友達の家でもこんな事になっていませんか? もしも、そうでしたら、もう一度、きもの生活の楽しさを思い出してください。
でも、あんまり困った場合は、買い取りも一つの方法です。あなたのタンスの肥しが、誰かの癒しになります。
アンティーク着物ブームはちょっと下火になってきました。大正時代のアンティーク着物は高価ですし、着こなしが難しい、ということでしょうね。でも、それで着物ブームは終わると思えたのですが、最近では、紬やウールなどのちょっとしたお出かけに着ることの出来る着物が流行しているようです。そのため、近頃、リサイクルショップでは、良い値段で買い取りをしてくれるようになりました。着物の余り布に付いている証紙があれば、より高い値で買い取りしてくれるそうです。
また着物と同寸の長襦袢とセットであれば、さらに高い値での買い取りもあります。
★ たとう紙も、信頼できる呉服屋さんのものとわかれば(例えば、高島屋など)取っておくと、高めの買い取りになりますよ!また、産地や染織の技法(織元や染物屋)がわかる、端切れや証紙も必ずとっておきましょう。買い取りの査定の参考になります。
着物を着ることが出来ない・・・という理由で、着物が肥しになってしまった人が案外多いのではないでしょうか?
だから、ここでは、着付けを覚えるコツをお教えしますね! 買取りに出す前に、すこし考えてください。
着物を着て働くような、割烹料理や老舗旅館などアルバイトすると、毎日、短い時間にパッと着付けしなければなりませんし、動きまわっても崩れない着付けを考えなくてはなりません。お給料をもらっているので、真剣に着付けを覚えられますよ。
嫁ぎ先で娘が肩身の狭い思いをしない様に、親は無理をしてでもタンス一杯に着物をつくり持たせた時代。そんな遠い昔のことではありません。
「辛いときは着物を出して親を思い出しなさい」
「もし、生活が苦しい時がきたら着物を売ってもいいのよ」
タンスの着物を見ると親のありがたさをつくづく思い出します。今、皆様の家庭にある着物はそういった思いの結晶です。
出来上がった着物をお届けしお客様のうれしそうな顔を見る時、着物が女性の美しさを引き出しているところを街中でお見かけする時、着物屋をやっていてよかったな、と思います。
お買いになったお客様がその着物を着こなし、それをお嬢様に伝えていく。それが本来の姿と思います。
でも、それができなくなる事情もあるでしょう。そういった時、その思いを、他人とはいえ、同じように着物を愛する人にその美しい着物と共に託していただきたいと思うし、そのお手伝いをしていきたいと、天陽は考えております。
現実的なお話をすると、今は「捨てる」事にもお金がかかります。着物買い取りに出せば、お金が入ってきます。買い取りに出した方が、あなたも、その着物を買う人も、皆、幸せになります。
着なくなった着物の事は天陽にご相談ください。
天陽がその着物と思いを、別の着物を愛する方にお渡しいたします。